外壁のひび割れは外観を悪くするだけでなく、防水機能の低下を示している可能性があります。防水機能の低下は建物の耐久性に大きくかかわるため、定期的に防水塗装を行い建物を維持しましょう。
今回は外壁の防水塗装をはじめとする防水方法について、防水機能の重要性にも触れながらご紹介いたします。
■外壁の防水塗装とは
外壁は雨や風、太陽光にさらされ、車や地震の震動によっても少しずつダメージを受けています。ダメージが蓄積するとひび割れの原因になるほか、ひび割れから建物内部に雨水が浸入すると雨漏りや構造材の腐食といった問題を引き起こします。そうならないために、適切に防水塗装を行うことが必要です。
外壁の防水塗装とは
防水塗装とは、水の浸入を防ぐ目的で塗装をすることです。特に、ひび割れから雨水が浸入するのを防ぐために、「弾性塗料」を使って塗装することを言います。弾性塗料はゴムのような伸縮性のある素材で、ひび割れにぴったりと密着して雨水の浸入を防ぐことが可能です。
弾性塗料は、特にモルタルやコンクリート外壁のひび割れ補修に適しています。ただし断熱材が使用されている影響で、夏の高温によって弾性塗料の塗膜が膨らんでしまうため、サイディング外壁には適していません。
ひび割れにも種類がある
外壁にできるひび割れはいくつかの種類に分類されます。
<ヘアークラック>
細いひび割れで髪の毛のように見えることから、幅0.3mm未満のひび割れをヘアークラックと呼びます。
<乾燥クラック>
モルタルやコンクリートなどの外壁材が乾燥していく過程で発生するひび割れです。水分が蒸発することで収縮が起こり、ひび割れます。
<構造クラック>
「貫通クラック」とも呼ばれ、建物の構造に影響を及ぼす可能性のあるひび割れです。幅0.3mm以上、深さ5mm以上のひび割れは構造クラックの可能性が高いです。
<縁切れ>
モルタルなどの外壁で、一度に一面の塗装を仕上げず途中で中断すると、先に塗った部分と後で塗った部分のつなぎ目にひび割れが生じることがあります。これを「縁切れ」と言います。
ひび割れを放置すると…
ヘアークラックなどの小さなひび割れであれば、ただちに建物に大きな影響が出るようなことはありません。しかしそのままひび割れを放置していると、中の防水シートが雨水にさらされ、いずれ破損してしまい、構造材へ浸水が始まる可能性があります。
■外壁の防水機能をチェック
外壁の防水機能は5~10年で低下するため、定期的に防水塗装を行う必要があります。住居周辺の環境によって劣化の進み具合は変わってくるので、外壁に以下のような防水機能低下のサインが表れていないかチェックしてみましょう。
チョーキング現象
外壁の表面に触ると、手に白い粉が付着する現象をチョーキング現象と言います。紫外線や雨によって塗料が分解され、塗料の成分が粉状になって表れている状態です。
ひび割れ
ひび割れのサイズによって建物に与える影響度には違いがありますが、ひび割れの部分からは雨水が浸入するため、防水機能が下がっている状態です。
シーリング
シーリングとは、サイディングボードなどのつなぎ目を埋めている材料です。シーリングがつなぎ目にぴったりと密着することで雨水の浸入を防いでいるため、ひび割れたり縮んで隙間が空いてきたりしたら、機能が低下しているサインです。
塗装
塗装のはがれや膨れも防水機能の低下を示すサインです。はがれは、塗膜による保護が失われ外壁材がむき出しになっている状態です。外壁材に浸水してしまうため、早急な補修が必要になります。
膨れは、塗膜と外壁材の間に雨水や水蒸気などが入り込んで膨れている状態です。膨れはそのままにしておくと、やがてはがれに進行します。
■外壁の防水塗装は3種類
弾性塗料の仕上げ方は3種類あります。
単層弾性塗装
下塗りをした後に、弾性塗料で2~3回の上塗りをして仕上げる方法です。戸建て住宅で最も一般的な仕上げ方です。
複層弾性塗装
下塗りをした後に、弾性塗料で2回中塗りをして、その上から通常の塗料を2~3回塗って仕上げる方法です。塗膜に厚みが出るため、3つの仕上げ方のうち最も高い防水性能を発揮します。
微弾性塗装
「微弾性フィラー」という伸縮性のある下塗り材で下塗りをした後、通常の塗料で1~2回上塗りをして仕上げる方法です。他の2つの仕上げ方に比べて弾力性は長続きしません。
■まとめ
ひび割れは、外壁の防水機能低下を示すサインの一つです。小さなひび割れであれば、弾性塗料を使った防水塗装で建物内部への雨水の浸入を未然に防ぐことができます。外壁の状態に応じて適切なタイミングで防水塗装を行いましょう。